比丘尼石
坂城町と千曲市の境付近、苅屋原の山を見上げると、まるで人が前かがみになっているような形の巨石が見えます。比丘尼石と呼ばれ、次のような言い伝えがあります。
戦国時代、村上義清が葛尾城を自落させ、武田氏の侵攻から逃れる際、義清の奥方も姫城から脱出した。しかし眼下の里人を思い、ここに立ち止まって、「自分はどうなってもよいが、里の皆は永遠に幸せであるように」と祈願を始め、そのまま石になった。
地元の人は、この石が経を読んでいる奥方の姿だと信じ、比丘尼石と呼ぶようになりました。
実際には自然石(石英斑岩)ですが、戦乱に巻き込まれた高貴な女性への労りと思慕を感じさせます。町内には葛尾落城と奥方にまつわる言い伝えがいくつかあり、比丘尼石もそのひとつです。苅屋原ミニパーク、笄橋付近の堤防から見ることができます。